整形外科

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■2024年度(1月〜12月) 手術実績

[整形外科手術]
脊椎手術 32例
骨接合術上肢 134例
骨接合術下肢 147例
人工骨頭手術 56例
人工関節手術 81例
膝関節鏡・靱帯再建術 5例
末梢神経手術 3例
腱の手術 49例
腫瘍摘出術 4例
その他 67例
整形外科

診療方針

外来診察では、2名から3名の整形外科医師で対応し、一部に予約診察も導入して、待ち時間の短縮と丁寧で正確な診察をめざしております。入院の患者様については毎日医師が回診し、全身状態・リハビリの進行状況を確認して、安全に入院生活を送り早期に日常生活に復帰できるように努めております。手術については新病院になり環境も充実したため、正確で安全な手術を、待機することなく迅速に行える体制を整えております。

診療内容

整形外科は、上肢、下肢、脊椎などの運動器の治療を専門とします。
各部位の骨・関節・神経・腱・靭帯の不具合を診断して治療します。
治療は薬・注射・安静・リハビリテーションが基本ですが、症状がひどい場合は手術を行います。

特色

  • 現在、常勤医師4名、非常勤医師3名で診療にあたっており、それぞれが手の外科、肩の外科、脊椎外科、膝・股関節外科などを専門に治療を行っております。
  • 交通事故・労働災害などに伴う一般外傷・骨折の治療や、小児の骨折や、高齢者の大腿骨頸部骨折に対する手術も数多く行っています。
  • 2022年度の手術件数は580件でした。
  • 大腿骨近位部骨折にたいする2次骨折予防の取り組み(骨折リエゾンサービス)について

    高齢者の大腿骨近位部骨折は骨粗鬆症や筋力低下が原因とされています。 骨折が起こると手術が必要になり、手術後には寝たきりになったり、歩行能力の低下が起こったります。特に片方の骨折の後は反対側に骨折が起こる可能性が高いとされています。
    骨折を繰り返すとさらに寝たきりの状態になる可能性や死亡率の上昇が危惧されます。
    当院では、医師・薬剤師・リハビリ技師・栄養士・医療事務クラークの他職種連携チームで大腿骨近位部骨折後の2次骨折予防の取り組みを行っています。
    骨折の手術後早期に、骨粗鬆症にたいして栄養指導を含む治療を開始し、転倒予防を目的とした日常生活指導と筋力強化を行います。退院後も地域の先生方と連携し骨粗鬆症に対する治療や転倒のリスク評価を継続し、再骨折を継続的に予防するプログラムを行います。
  • 大腿骨近位部骨折に対する早期手術の試みについて
    大腿骨近位部骨折患者さまは、手術までの期間、骨折部の痛みや安静のため臥床が必要になります。そのためせん妄の出現や認知症の悪化臥床による呼吸器合併症やバルーン留置による尿路感染などが問題になります。
    このような状態で手術を行うと、術後も悪い流れが続いて、リハビリが進まずADLの低下・生命予後の低下が起こります。
    蒼生病院では2022年4月から大腿骨近位部骨折の早期手術を目指して、院内ガイドラインを作成しこれに沿って運用を開始しました。診療科および診療部門の連携を円滑に行い、術前評価を迅速に行い、麻酔科医師・内科医師と早期に連携して不必要な手術の遅れを防ぐことを目標にしています。
    ガイドライン導入後は入院後平均40時間で手術が行われており、全国平均の4.2日より大幅に改善されています。
当院で治療している主な疾患
  • 膝関節疾患
  • 当院で主に治療している疾患

    <変形性膝関節症>
    膝関節の軟骨の摩耗が生じて関節に変形が生じると、歩行時や階段昇降時に痛みが出ます。変形が進行してくると下肢がO脚になり、かつ膝関節が完全に伸ばすことが出来なくなります。膝関節を完全に伸ばすことが出来なくなると、体のバランスをとるために腰をかがめて歩行するようになり、歩行に支障が生じることで腰痛の出現・増悪や、転倒のリスクが増大します。
    初期の段階では減量や筋力増強などの運動療法に加え、種々の痛み止めやヒアルロン酸の関節内注射、リハビリなどによる保存加療を行うことで疼痛の軽減を図ります。保存加療抵抗性であり、外科的な治療が必要となった場合は膝変形の程度に応じた手術を提供することで膝関節の機能を再建する治療を行っております(詳細はこちら)
  • 変形性股関節症
  • 歩いたり立ち上がったりする動作で、脚の付け根(股関節)に痛みが出る場合は股関節に異常が生じている可能性があります。症状が軽い場合は痛みどめの内服・関節内注射・リハビリで症状を軽減することが可能です。症状が重い場合は股関節関節唇損傷については股関節鏡を用いた先進的な治療を行います。変形性股関節症については手術後の脱臼などの合併症が起こりにくいように、側方アプローチを用いて人工股関節置換術を行っております。
  • 関節リウマチ
  • 関節リウマチは早期に診断して適切な治療を行えば、痛みや関節の変形を予防することが可能です。当科ではリウマチの活動性に応じた薬剤を使用し、副作用にも十分に考慮した治療をしています。活動性が高い場合には、生物学的製剤も使用して治療を行っています。
  • 骨粗鬆症・胸腰椎椎体骨折
  • 骨粗鬆症は放置すると骨の強度が低下して、骨折の危険性が高くなる病気です。当科では現時点で最も信頼性の高いDEXA装置を用いて骨粗鬆症を診断しています。治療は各種の内服薬や注射薬を導入して、患者様の状態にあった治療を選択しています。
    胸腰椎椎体骨折は骨粗鬆症をベースに起こることがおおく、変形治癒による腰曲がりや神経障害など合併症を起こすことがあります。当院では重症度に応じた安静期間の指導・コルセットの適切な処方・骨粗鬆症の治療を行い、後遺症を起こさない治療を心がけています。また状況に応じて、経皮的椎体形成術による治療も行っています。

    経皮的椎体形成術(BKP)について

    経皮的椎体形成術は、高齢者に見られる骨粗しょう症や、転倒による外傷などが原因で起こる脊椎圧迫骨折の治療法のひとつです。
    従来、脊椎圧迫骨折の治療は、鎮痛剤の投与や、患部をコルセットで固定し、ベット上で安静する保存的療法が主でしたが、3か月近くの安静が必要で、それがきっかけで、寝たきりになったり、痴呆症状が生じる問題がありました。
    それに対して経皮的椎体形成術は、麻酔のもと、切開せずに、針を刺すだけでおこなう手術なので、心身への負担が少なく、治療後の長期安静も不要で、コルセットをして数時間後には起き上がることも可能です。
    背中から針を入れ、圧迫骨折した椎体へ小さな風船のついた手術器具を入れます。
    風船を徐々にふくらせ、つぶれた骨を持ち上げて、できるだけ骨折前の形に戻ります。
    風船を抜き、できたその空間を満たすように骨セメントを注入します。
    手術は1時間程度で終了します。注入した骨セメントは手術中にかたまります。
  • 腰痛症
  • 慢性的な腰痛症は、快適な日常生活を送る際に大変苦痛になります。
    当院では、画像診断で痛みの原因を診断して、慢性疼痛に効果のある薬物治療・認知行動療法・リハビリを行って治療しています。
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎椎間板ヘルニアは脚の痛み・しびれ・運動麻痺を起こすことがあります。多くの場合は内服薬や各種のブロック(硬膜外ブロック・神経根ブロック)で治療が可能です。また近年、椎間板内酵素注入療法の有用性も報告されています。痛みが取れにくい場合や麻痺がひどい場合は内視鏡を用いた低侵襲手術を行っています。

    椎間板内酵素注入療法とは?

    椎間板内酵素注入療法とは、椎間板内に酵素を含んだ薬剤を直接注射して、ヘルニアによる神経の圧迫を弱める方法です。当院では、この椎間板内酵素注入療法にヘルニコアという薬剤を使用します。こちらの治療法は手術と比較して患者様への身体的負担が小さいのが利点です。1泊2日の入院で実施しております。

    本治療は適応が限られておりますのでヘルニアのタイプや症状により、他の治療方法をお勧めする場合がございます。

    ヘルニコアについて

    背骨と背骨の間のクッションの役割を持つ椎間板の内部には、髄核という組織があります。この髄核が後方に飛び出て、神経を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。
    ヘルニコアはヘルニアを起こしている髄核に直接注射して治療を行います。髄核には保水成分が豊富にあるため、ヘルニコアを髄核に注射することで、有効成分のコンドリアーゼが髄核内の保水成分を分解し水分によるふくらみを和らげます。結果として、神経への圧迫が改善し、痛みやしびれなどの症状が軽減すると考えられています。
  • 脊柱管狭窄症・腰椎すべり症・変形性腰椎症
  • 腰の神経の通り道が狭くなると、歩いたり立っていると脚の痛みやツッパリ感が出てきて不自由が出てきます。症状が軽い場合は内服薬や各種のブロック(硬膜外ブロック・神経根ブロック)で治療が可能です。症状がひどい場合は手術で症状を軽減することが可能です。
  • 頚椎症・手根管症候群・肘部管症候群
  • 脳からでた神経は頸椎、ひじ、手首を通って手の運動や感覚にかかわります。各部で神経の圧迫があれば、肩や腕の痛み、手のしびれ、運動障害がおこります。放置すると、麻痺や痛みやしびれが取れなくなる場合があります。適切な診断を行い重症の場合は、手術で症状を軽減したり、悪化を防ぐことができます。
「日本整形外科学会手術症例データベース(JOANR)構築に関する研究」の為、
当院に入院・通院された患者様の診療情報を用いた医学系研究に対するご協力のお願い

 当院では、整形外科で手術をうけられた患者様の診療情報を用いた医学研究を、倫理委員会の承認ならびに病院長の許可のもと実施致します。この研究を実施することによる患者様への新たな負担は一切ありません。また、患者様のプライバシー保護については最善を尽くします。
 本研究への協力を望まれない患者様は、その旨を下記連絡先までお申し出下さいますようお願い致します。

電話:072-885-1711
社会医療法人蒼生会蒼生病院事務部